micro:bitと電源
目次
micro:bit 本体への電源入力
micro:bitには、次の4種類の方法で電源を供給できますが、通常はJST Ph コネクタとmicro USB用コネクタの2種類を使うため、以下ではこれらを中心に少し詳しく見ていきます。
micro:bitのコネクタ | 一般的な電源の種類など |
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JST Phコネクタ | 電池ボックス |
micro USB用コネクタ | ①PCのUSBポート(急速充電用除く) ②スマホ用充電器(ただし、公式には非推奨) |
エッジコネクタ | (モジュールや回路からの電源供給用に使われている) |
バッテリーパッド | (rounded rectangular padやlogenze power padと呼ばれる。テストポイントと位置付けられている。) |
なお、ここでは2020年に発売されたmicro:bitのV2を前提にしています。V2は、V1.5以下とは異なり、インターフェイスのKL27とは別に、オンボードのレギュレーター(NCP114を使用)があり、JST Ph コネクタとmicro USB用コネクタの2種類の方法による給電はこれにつながるようです(developer communityのHardwareやGitHub - microbit-foundation/microbit-v2-hardware: The schematic and Bill of Material for the BBC micro:bit V2を参照)。
JST Ph コネクタ
JST S2B-PH-SM4-TBが使われており(日本圧着端子製造株式会社参照)、ここに1.5V x 2本(3V)のJST Ph コネクタ付電池ボックスをつなぎます。このコネクタで電池数が多い電池ボックスは見当たらないのかもしれませんが、さらに電池を増やしてしまうと、上限電圧を超えるおそれがあります。
電池ボックスは、各種スターターキットに付属しており、単体でもmicro:bit用、などとして発売されています。 バリエーションは単3/4、フタ有/無、スイッチ有/無などですが、JST Phコネクタは抜き差しが硬く(microbit on scratch - Vivite Laeti.)、繋ぎっぱなしで必要な時だけオンにする使い方をしたくなるため、スイッチはあった方が良いです。(なお、micro:bit V2ではリセットボタンを長押しすると電源オフ(OffMode)にすることができるため、繋ぎっぱなしでこの機能を活用することは考えられます。電源オン(OnMode)にするためにはもう一度リセットボタンを押します。)
- 個人的には、単3・フタ有・スイッチ有の、共立プロダクツ311-635 [マイクロビット バッテリーホルダー 3×2]を使っており、満足しています。
- 単4はmicro:bit用電池ボックス(フタ・スイッチ付) - スイッチサイエンスなどがあります。容量が少なくなるものの、コンパクトですね。スターターキットは単4の方が多いかもしれません。
なお、エネループ等の充電式電池をこのような電池ボックスに入れると1.2V x 2(2.4V)となり、使い捨て乾電池より電圧が低くなります。下限電圧をクリアしているため、micro:bitを単体で動かすことはできるようですが、出力は低くなりますし、お薦めというわけではありません。やはり一般には使いきりの乾電池が想定されています。
micro USB用コネクタ
PC接続(基本)
micro USB用コネクタは、基本的にPCのUSBポートとの接続用であり、5Vの入力は可能とされています。
王道の上記JST Ph コネクタ付の電池ボックスは、他にあまり転用が効かないため、そちらではなく、スマホ用充電器を使いまわせると便利なのですが、これは、公式サイトでは非推奨、又は、供給電圧の確認を要するとされています。micro:bitが耐えられる電圧の上限を超えてしまう可能性があり、また、充電器に自動オフ機能が付いていると微弱な電流のため電源供給を自動停止してしまうおそれがあるためという理由のようです。
Iftinyのマイクロビット (micro:bit) v2の扱い方と注意事項 | iftiny: docsも、以下のとおり警告しています。
micro:bit(マイクロビット)の仕様は 1.8V〜3.6V となっています。 携帯電話等急速充電用途のバッテリーに接続しないでください。出力が高い場合多いため、故障の原因となります。 同じ理由で、PCの急速充電対応USBポートへの接続もしないでください。
乾電池タイプのスマホ用充電器
しかしながら、主要な書籍では、少なくとも、1.5Vx2本の乾電池タイプのスマホ用充電器は、選択肢とされているようです。書籍毎に次のとおりです。
- 手づくり工作をうごかそう!micro:bitプログラミング 第2版 電子書籍|翔泳社の本の8頁では、公式サイトでは非推奨であるとし、また、皆さんの責任の下で、としつつ、リチウムイオンバッテリータイプではなく乾電池タイプであれば、単純な作りのものが多く問題はないと思われるとして、ケーブルの長さや抜き差しのしやすさからスマホ用充電器を薦めています。
- 【v2対応】改訂新版 micro:bitであそぼう! たのしい電子工作&プログラミング:書籍案内|技術評論社の12頁も、乾電池タイプを選択肢としています。
- O'Reilly Japan - micro:bitではじめるプログラミング 第3版の30頁では、特にタイプを指定せず、モバイルバッテリーを選択肢に挙げています(自動オフ機能を搭載したものでは長時間駆動できないとしています)。
- プログラム×工作でつくるmicro:bit | Ohmshaの23頁は、乾電池タイプでない、IoT用のモバイルバッテリーを薦めています。 cheero Canvas 3200mAh IoT 機器対応 | 《安全安心》cheero(チーロ)モバイルバッテリーです。本稿では、下記の拡張基板で試しています。
今回は、乾電池タイプを2種類試してみました。
エコー金属 充電用電池BOX USBポート付 1047-110:問題なく動作しました。スイッチがないためやや不便です。このような乾電池2本のものは最近100円ショップやコンビニで見かけなくなり、ネットで購入しました。100円ショップで販売されていたものと非常に似ており、おそらく同じものではないかと思います。【100均ガジェット分解】(19)セリアの「乾電池USBチャージャー」|ThousanDIY (Masawo Yamazaki)|noteによると、昇圧コンバータが組み込まれているとのこと、確かに、テスターで図ったところそのようです。昇圧コンバータのデータシートでは、上限5.1Vとのことであり、これはmicro:bitのレギュレーターの上限まではまだ余裕があるのかもしれませんが、シンプルな電池ボックスとは仕組みが違うようです。
USB出力付 ハンディ電源 KBC-D1BS 商品概要 | エネループ/電池(三洋) | Panasonic:入手不可ですが、懐かしの三洋エネループ銘の乾電池2本の充電器が手元にあったため、使ってみたところ問題なく動きました。こちらはスイッチがある点が便利ですが、細長いため、スペースをとります。古い乾電池タイプがどこかに眠っていれば、試してみると意外と使えるかもしれません。
エッジコネクタ・バッテリーパッド
エッジコネクタやバッテリーパッドは、回路に直結しているため、上限電圧(developer communityのPower Supplyによればアプリケーションプロセッサ、インターフェイス、モーションセンサーの上限電圧は3.6V)を超えないようにするなど特に取り扱い注意とされています(以下もdeveloper communityのPower Supplyの引用)。
When powering from the 3V ring or the rounded rectangular pads on the PCB, you should take appropriate best practice precautions:
1. Fit an external protection diode (preferably with a low Vf rating) to prevent damage due to the power supply being connected the wrong way round.
2. If powered from a voltage source that could generate a voltage higher than the maximum operating voltage of the micro:bit, fit some form of over voltage protection, or proper regulation.
micro:bit単体からの電源出力
エッジコネクタからの電源出力は、V2については、3.3V・190mmとされています(厳密には、電池残量や逆流防止用のダイオードによる電圧降下により、この値より低くなり得る)。
5V付近の電圧が必要なアクチュエーター(お馴染みのサーボモーターSG-90など)やセンサーには本来不足するため、①別途、5V外部電源をモーター等にだけ付けるか(これをエッジコネクタに繋がないよう注意)、②拡張基板を使うのが本来のやり方です。
Using a servo with the micro:bit : Help & Support
なお、仕組みをシンプルにするため、定格に満たないことを分かりつつ、エッジコネクタからの出力3.3Vだけで動かすこともあります。例えばSG-90の場合、動作電圧は4.8~5Vとされているにもかかわらず、それで動くこともありますが、特にJST Phコネクタから電池ボックスで給電していると、電池の減りに応じて動きが鈍り、最後は停止するなど、やはり安定しません。LEDテープも同様です(光る刀の作り方(micro:bitの加速度センサーで音と光を制御) - TFabWorks(ティーファブワークス)では、定格未満なので新品の電池を使うようにと注記しています)。
厳密に検証しておらず、また手元にある機器の限りでの感想ですが、このような無理のある使い方をする場合、V2より、V1.5の方が、安定する様に思います。前述のレギュレーターの違いのためかもしれません(出力電流はV2の方が多いのですが)。
拡張基板への電源供給
Ks0360 Keyestudio Sensor Shield V2 for BBC micro:bitは、micro:bitを差し込むことで、本体だけでは接続が難しかったエッジコネクタの入出力端子を引き出して、ジャンパーワイアでの接続を可能にしているだけでなく、引き出したピンに対応するVCC/GND/S の3端子を分かりやすく色分けし、並列しているため、モーターや外部センサーを使いやすく、VCCからの供給電圧も3V/5Vの選択が可能であり、またSPIやI2C、シリアルの接続もできます。
このようにとても取り回しが良いのですが、電源入力が、(1) black DC jack (DC 7-9V) か (2) micro USB port (DC 5V)の2択であり、端子台がないのが玉に瑕です。
この拡張基板の(2)のmicro USBに、 5V で接続できそうなモバイルバッテリーとして、乾電池タイプとリチウムイオンタイプを試しました。
スマートフォン用乾電池式単3×4本USBタイプ - 乾電池式充電器/ 株式会社インプリンク:スマホ充電用の乾電池4本タイプです。1.2Vのeneloopを使い5V弱にしており、これで継続して電源供給できました。上面のスイッチでオンオフを切り替えるのですが、オンになったことを示す青色LEDは分かりやすいものの、結構眩しいです。裏返して使えば問題ないです。
cheero Canvas 3200mAh IoT 機器対応 | 《安全安心》cheero(チーロ)モバイルバッテリー:先のとおり書籍にも紹介がありますが、IoT用のモバイルバッテリーとして設計された貴重なリチウムイオンタイプです。こちらも、継続して電源供給できました。側面のスイッチでオンオフを切り替え、オンになったことは同じく側面の残容量インジゲーターで分かります。残容量インジゲーターの光が強すぎず、また、全体にコンパクトで軽いですね(約 50 × 85 × 16 mm・重量(本体)約 85 gとのこと)。これを直接micro:bitのmicro USBコネクタに繋いで利用する作例もありますが(micro:bitでおうちトレーニングツールを作る | パソコン工房 NEXMAG)、上記のとおり、公式には非推奨となります。
なお、 USB入出力付急速充電器 BQ-CC87L 商品概要 | ニッケル水素電池&充電器 | Panasonicは手に入りやすいのですが、こちらも試したところ、自動オフが働いてしまうためか、短時間しか電源供給されませんでした。
(編集履歴)
2022/03/19 micro:bit v2 の電源オン・オフ機能の追記。なお、micro:bit v2のパワーモードについては、以下参照。